消費税の決算整理仕訳

みなさま、お越し頂きましてありがとうございます。さるやです。
今回のテーマは2019年6月の検定試験より3級の出題範囲となりました「消費税」の決算整理仕訳について解説していきます。
おさらい
まずはおさらいです。期中処理の記事も書いておりますが、最初にこの記事にたどりついた方向けに復習します。
私達が普通の生活をしている中でもよく耳にする消費税ですが、細かい処理方法まではご存知ない方がほとんどであると思います。意外と細かい内容を知っているかで、仕訳のやり方がしっくりくるかこないかがはっきりすると思いますので、概要的な話から見ていきます。
消費税とは

消費税は国に納める税金です。物、サービスを購入して消費(使用)する事に税金を課税しています。会計の世界では消費のタイミングは実際に使ったときではなく、購入時点で消費すると見なして課税されます。
私達の生活ですと、消費税はいつ払っているかというと、「物、サービスを購入した時」ですよね。代金の8%を購入代金と合わせて支払っています。このタイミングの話は簿記の問題でも登場してくるシチュエーションです。比較的イメージがつきやすいでしょう。この流れは会社も同じです。会社として、商品、消耗品などを購入すれば購入した対価の8%を支払っていることは同じです。
では反対に物、サービスを販売した場合はどうなるのでしょうか?ここの内容について私達は普通の生活をしていると、まず体験できていない内容です。
物、サービスを販売した側は購入対価と合わせて8%の消費税を受けとることになります。先ほどの反対側の立場ですから当然と言えば当然ですよね。でもここで疑問を持った方もいらっしゃるのではないでしょうか?
税金はいつ国へ支払われるのか?
そもそも消費税は税金です。国に納めるお金です。ですが、私達消費者は物、サービスを購入した時に「お店や会社」に消費税を払い、国には納めていません。だからと言って受け取った会社側は自分の財産にしているかというと決してそうではありません。受け取った消費税は私達個人の代わりに、会社が国に納める義務があるのです。
このように、実際に税金を払った人と納める人が違う仕組みをとっている税金のことを総称して間接税と呼んでいます。
収める消費税の関係を表すと下記のような図になります。

つまり顧客に商品を売上ときは商品代金を合わせて顧客の代わりに収める消費税を一時的に預かります。この消費税は簿記では「仮受消費税(負債)」となります。
一方、商品を仕入れたときに支払った代金の内訳として消費税を支払っています。この行為は仕入先が自社の代わりに消費税を納税することを前提としています。したがってあとで払う必要のない権利となり「仮払消費税(資産)」となります。
この「仮受消費税」「仮払消費税」を商品売買などのつど仕訳していく処理が期中取引となります。
決算整理仕訳
そして消費税の納付額を具体的に計算し、記録するのが決算整理仕訳です。
また日商簿記3級では消費税の処理方法として「税抜方式」のみが出題されるとの情報ですので範例は税抜方式にて紹介させて頂きます。
まず期中において下記2つの範例があったことを前提とします。
範例① A社は商品を100,000円(税抜)を仕入れ、後日払いとした。

範例② A社は商品を216,000円(税込)で売上、代金は掛けとした。

ここまでの期中取引のみが行われたと仮定すると、仮払消費税(資産)8,000円と仮受消費税16,000円が勘定記入され記録されている状況です。前半に登場した図で考えていきます。この会社の正味の納税額はいくらになるでしょうか?
納税義務として一時的に預かった「仮受消費税16,000円」からすでに支払った消費税「仮払消費税8,000円」を差し引くと納税義務がある消費税は16,000円-8,000円で8,000円ということになります。
この計算過程を簿記では決算整理仕訳として出題されます
その仕訳を表すと下記の通りです。

まずは勘定記入されている「仮払消費税(資産)」「仮受消費税(負債)」を相殺する仕訳を行います。それが1行目の仕訳です。すると16,000円-8,000円の関係となり、差額の8,000円は納税義務があるが、この時点ではまだ支払っていない消費税の「未払消費税(負債)」8,000円が仕訳するという図式です。
納税時の仕訳
この未払消費税は次の翌期において実際に納税時に税金が支払われていくことになります。決算整理仕訳ではありませんが翌期の納税時の仕訳が下記です。

以上、消費税の決算整理仕訳となります。最後までお読み頂きましてありがとうございました。