商品有高帳の記入方法

みなさん、お越し頂きましてありがとうございます。さるやです。
今回のテーマは商品を購入したさいに「仕入」の情報を補完するだけでなく販売した商品「売上」の情報も補完し在庫管理に役立つ補助元帳である「商品有高帳」の記入方法を紹介していきます。
商品を仕入れたとき
商品を購入して仕入れたとき、簿記では仕訳帳に下記のような仕訳を起こします。

皆さんは上記の仕訳をみて、どんな商品を購入したか?単価はいくらなのか?何個購入したのか?などの情報を読み取れますか?上記の仕訳だけでは総額50,000円する商品を購入したことだけで、細かな情報はつかめません。補助記入帳の「仕入帳」を見に行く必要もありますね。
商品を販売したとき
商品を販売したときは、簿記では仕訳帳に下記のような仕訳がされます。

また質問です。皆さんは上記の仕訳をみて、仕入原価いくらの商品を販売したのか?何個販売したのか?売上原価の総額はいくらか?判断できますか?販売した売上の情報は「売上帳」を確認すれば判明すると思いますが、売上原価の内容はさっぱり判明しません。
すでにこのブログ内でも「仕入帳」「売上帳」の補助記入帳を紹介させて頂きましたが、今回の知りたい情報は、売上原価の情報とさらに在庫があとどれくらい残っているかの情報です。これらの情報を提供してくれるのがこれから紹介します商品有高帳です。
商品有高帳は①売上原価の情報を明らかにすること、②在庫情報を明らかにすることとして記入される補助簿となります。
払出し単価の考え方

商品有高帳は売上原価と在庫単価の考え方が2つ存在しています。どちらを採用するかは企業の考え方となり、試験問題上では問題文の指示となります。
①先入先出法
先入先出法とは、先に購入した商品が、当然先に購入されていくであろうと考える払い出し単価の考え方です。必ずしも実際はそうとは限らないのですが、便宜上簡略するべく「みなし」計算をしています。記入方法を下記例で示します。
5/3 A社は商品@150円を50個仕入れ、現金で支払った。
5/7 A社は商品@130円を30個仕入れ、現金で支払った
5/10 A社は商品70個を@200円で販売し、現金を受け取った。
5/17 A社は商品@160円を40個仕入れ、現金で支払った。

先入先出法はあくまで、単価の違うものは同じ種類の商品であっても別物として区別します。したがって5/4購入分と5/7購入分の記入例のように単価の違いで分けることになります。また5/10の売上時も単価で区別してください。ちなみに、問題文に記載されている@200円は文章から読み取ると売価を表す単価となるため、商品有高帳の記入には使用しません。このように記録を購入、販売の都度記録することによって、売上時の商品原価とその時点での商品在庫の情報を提供する資料となります。
②移動平均法
移動平均法とは、商品を購入するつど、払い出し単価を修正していく方法です。例えば「ガソリン」のような液体を扱う会社が、最初に購入したガソリンにあとから購入したガソリンをつぎ足していった時に先に買ったガソリンと後から買ったガソリンは混ぜ合わさってしまい判断できませんよね。そのような場合に単価を一つにして管理していく考え方となります。先入先出法と同じ例で示すと下記になります。
5/3 A社は商品@150円を50個仕入れ、現金で支払った。
5/7 A社は商品@130円を30個仕入れ、現金で支払った
5/10 A社は商品70個を@200円で販売し、現金を受け取った。
5/17 A社は商品@160円を40個仕入れ、現金で支払った。

移動平均法では、同じ種類の商品は区別せず、同一単価に購入した都度修正して管理していくのが特徴となります。したがって5/7の追加購入時に商品総額が11,400円となり合計80個となるので1個当たりの単価を計算しなおした結果@142.5円となります。売上原価(払出高)の計算でこの142.5円で計算していくことになります。そして5/17にさらに追加購入をしていますので、再度、単価修正が行われているのが17日の残高欄の記入例です。払出単価の管理方法の違いはありますが、売上原価と在庫を管理の情報を提供していることには変わりありません。
先入先出法でも、移動平均法でも同じ例にて商品有高帳を記入しています。ちなみにどちらの考えをとったとしても、仕訳帳に記録される仕訳は同じです。下記が仕訳例となります。

以上が商品有高帳となります。日商簿記3級で登場してくるくらいで、そのほかの上位級では全く登場してきませんので、3級特融論点となります。第2問、第4問に登場してくることがありますので、余裕がある方はしっかり取り組んでください。
最後までお読み頂きましてありがとうございました。