簿記3級 毎期一定額費用の決算整理

お越し頂き有難う御座います。さるやです。
今回は費用の繰延べにおける試験向けの話をさせて頂きます。
まずその前に試験にはほぼ登場して来ないのですが、見越し・繰延べ処理について決算整理仕訳が終わった後、次の会計期間(1/1から12/31の場合)の期首(1/1)に行われている会計処理を解説させて頂きます。
例えば繰延べられた費用が3ヶ月分あったとします。決算に行われた仕訳は下記です。※家賃の支払いの仕訳を前提とする。

この右側、支払家賃3ヶ月分の仕訳ですが決算日を基準としてみたときに今期分の損益計算書から減少させる分を表しています。その理由はこの3ヶ月分は来期に属する費用と考えるからでした。

このまま決算を終えて、来期の期首(1/1)になったとき前払家賃としておいた3ヶ月分は会計期間が来期に移ることで該当する費用と見方が変わることになります。そこで下記のような状態にある前払家賃勘定を元に戻す仕訳が必要となります。下記、仕訳前の勘定の状況です。

上記のような3ヶ月分を来期の期首を迎えたタイミングで行う仕訳が下記です。

この仕訳を行うことによって、下記のような勘定記入がされていきます。

このように決算で一時的に修正していた金額を、次の会計期間に切り替わった後は新しい会計期間に属する費用という理由で、元の場所に戻す仕訳のことを「再振替仕訳」と呼んでいきます。「振替」と言う言葉は簿記では「移動させる」と言う意味で使われる用語です。
このようなやり取りが見越し・繰延べの決算整理仕訳を行い、次の会計期間になった瞬間にこの「再振替仕訳」の必要せいが出てくることを頭に置いといてください。
長くなりましたが、個々までが応用問題として登場してくる内容の前提です。これがどんな表現で登場してくるかを範例で紹介していきます。
範例① A商店は本日決算につき、支払家賃を繰延べた。なお家賃の支払いは毎期一定額を4月に1年分を支払っている。
応用論点は範例の問題文を太字にしました「毎期一定額」という表現です。この表現が入ったとき、決算整理をする前段階の支払家賃残高は12月分とはなっていません!なぜなら、毎年決算日とのずれるように4月に1年分を支払っていれば、毎年3ヶ月分を繰延べ処理し、期首に再振替仕訳を行っています。つまり、4月に迎える支払日を迎える前に既に支払い家賃勘定には3ヶ月分の記録がされていることになります。

これを前提に1年分の支払いがされると下記の仕訳が行われ、勘定記入がされていきます。


ご覧頂いているように、左側、支払家賃12ヶ月分が仕訳されると、支払家賃勘定は残高15ヶ月分となり、このまま12/31の決算を迎えることとなるのです。したがって「毎期一定額」の文言が決算処理の問題資料としてあたえられ、決算整理前の残高は150,000円であるなどと与えられた場合、この150,000円は12ヶ月分ではなく15ヶ月分であることになります。1ヶ月あたりの計算を間違えると、たとえ繰延べる3ヶ月分の月数は合っていても正解になりません。
このように、「再振替仕訳」を前提として、2期目以降の決算整理問題を行うときは応用的な話として絡んできますので、注意して問題を解いて頂ければと思います。
以上が見越し・繰延べ処理の決算整理仕訳のプラスαの論点とそれを前提として応用問題の出題のされ方について解説いたしました。
最後までお読み頂き有難う御座います。引き続き、宜しくお願い致します。