決算一巡の流れ

みなさん、お越し頂きましてありがとうございます。さるやです。

今回のテーマは「決算一巡の流れ」を解説していきます。別の記事で大まかに「簿記一巡の流れ」は解説したことがありますが、その際は決算については詳細を書いておりません。最初の導入という意味で書いた内容であったので、ある程度簿記のルールを知らないとイメージが難しいと思われる決算については省かせて頂いておりました。

今回は、決算の各論でなく大まかな一巡の話をさせて頂きます。

ではその前に、決算期以外の内容「期中取引」と呼ばれる話をさせて頂きます。簿記は会計期間と呼ばれる一定期間の経営成績を表すために様々なルールを設けています。その際取引の内容によって「期中取引」と「決算整理」の2つの期間があると考えてください。

○期中取引

「期中取引」とは日々、日常の売上や仕入れ、その他経費の記録する事象「取引」が発生したらその都度、仕訳を行い、勘定記入を行い、そして任意で試算表作成を行い記録の間違い探しをしていくという流れであり、膨大な量の記録をしていく定常的な内容の期間です。

流れを表すと下記のようになります。

上記のような流れが会計期間が仮に1/1~12/31の1年間であった場合はこの期間の間、常に行われ記録が蓄積されていくことになります。

○決算

「決算」とは「期中取引」において簿記のルールに基づいて正確に記録が行われているのですが、ルールを守っているにも関わらず、記録と実績がズレてしまうことが発生しています。また、1年間前の資産の価値がそのままの状態で放置され、一定期日の価値とあっていない記録も発生しています。このような簿記のルールを守っていても防ぎようのない「記録の矛盾」をまとめて修正、記録のアップデートを行う期間を「決算」と呼んでいます。

そして矛盾している記録の修正やアップデートはすべて仕訳で行いまう。そのさい決算期間に行われる矛盾している記録の修正やアップデートする仕訳全般のことを特別に「決算整理仕訳」と呼んでいます。また修正など、対象となる事項を「決算整理事項」と呼んでいます。

では決算期間に行われる手順を追加の話も交えて順番に追っていきます。

①決算整理前試算表(前T/B)

まず行うことは決算期間に入る前段階の記録の間違いがないかを確認します。その際に作成していくのが決算整理前試算表です。修正をしていく元の記録がそもそも間違っていては、意味がない修正になってしまいますので、まずは期中取引の確認を行います。

②決算整理事項をまとめ決算整理仕訳を行う。

こちらは前述したように日々の記録を正しく行ってはいるが、矛盾が発生してしまう記録、決算整理事項に対して修正、アップデートをしていく話です。仕訳で修正が行われ、その際に決算整理仕訳を行っていきます。

具体的にどんな内容が決算整理事項にあたるか1つだけ具体例を紹介させて頂きます。それは売買目的で取得してイルカ「有価証券」です。売買目的の有価証券といえば代表的なのが「株取引」です。ニュースでも毎日のように株価情報が流れいますが、株価はその時点によって毎回、値段が変わります。簿記では取得した時点の時価を有価証券として資産に記録しますが、仮に1/1に取得した株か1年後の12/31に同じ株価かというと、同じであることはまずありません。毎日変動する株価をその都度変更していくのは合理的でありません。なので簿記では取得してから決算までは記録をほったらかしにしてしまい、一定期日、つまり決算日の時価に修正するという決算整理が行われるのです。

③決算整理後試算表(後T/B)

決算整理後試算表とは決算整理前試算表とは目的が違います。決算整理前試算表は期中の間違い探しをするのが目的ですが、決算整理試算表は決算整理仕訳が正しく反映されているかを確認し、決算整理仕訳の間違い探しをするために作成されます。

④決算振替仕訳を行う

決算振替仕訳については初めて登場する言葉になります。そもそも「振替」という用語ですが、こちらは簿記の世界では「移動」を意味します。なにを移動するかと意味します。いうと勘定の記録の移動です。元の勘定から別の勘定に移動する際に、簿記は仕訳を行います。これは期中においても行われる話です。今回の決算振替仕訳はその記録の移動を単純に決算に行っているために「決算振替仕訳」と言っているにすぎません。

では何のために移動をさせているかを話していきます。目的は「損益計算書」「貸借対照表」の元勘定となる「損益勘定」「決算残高勘定」へ移動させるためです。総勘定元帳は今でこそPC管理でボタン1つで集計作業ができますが、検定試験を踏まえると検定試験で対応しなければいけないのは、昔ながらの簿記です。したがって紙媒体の記録を集計します。その際、別記事でも書きましたが、総勘定元帳と呼ばれる帳簿はノートのような綴りになり複数のページにまたがり各々の記録がされています。そのような状態で目視で損益計算書、貸借対照表を作成すると人間の作業ですので間違いが起こりやすいです。その間違いをできるだけ防止するために、記録を書類各々のベースとなる勘定に集約する目的で行うのです。

⑤「損益計算書」「貸借対照表」の作成

最後の手順です。④にて集約した「損益勘定」「決算残高勘定」をもとにして書類を作ります。「損益勘定」をもとにして「損益計算書」を作成し、「決算残高勘定」をもとにして「貸借対照表」を作成します。

この①~⑤の流れを作業ツールとして作っていくのが「精算表」と呼ばれる資料ですが、こちらについては後日、書かせて頂きます。

この決算期間の一連の流れをまとめると下記の通りです。

以上が決算期間に行う、決算一巡の流れになります。

最後までお読み頂きありがとうございました。

さるや
  • さるや
  • 鎌倉市在住/簿記の元講師/現在は一般事業会社にて経営企画として経験を積んでいます。/専門は工業簿記・原価計算/社会人講座クラスを3級・2級・1級工業簿記を担当

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