伝票会計 ※応用編

みなさん、お越し頂きましてありがとうございます。さるやです。
今回のテーマは日商簿記検定にて出題される「伝票会計」と呼ばれる論点です。
今回は応用編となります。
おさらい
出題実績としては3級では第2問、第4問のどちらかに出題され配点としてはおおよそ10点ほど割り振られます。また簿記2級では第2問目に出題されることがあり、配点としては20点ほどが割り振られます。
伝票会計とは?
ではそもそも伝票会計とはどんな話なのか、概要を少し触れさせて頂きます。まず伝票会計とは「伝票」と呼ばれる記入用紙に金額を記載することによって簿記でいう仕訳と同じ意味を持たせる記録方法です。
伝票の約束事を3枚でルールを決めるか、5枚でルールを決めるかによって「3伝票制」と「5伝票制」の2つのやり方があります。
※「5伝票制」は日商簿記検定の出題より除外されています。しかし、古い問題集などをお使いになる方もいると思われていますのであえて記述は残しています。
▽3伝票制
「3伝票制」とは入金伝票、出金伝票、振替伝票の3つの種類の記録用紙を使った方法です。各々のルールを下記のように示します。

「5伝票制」とは入金伝票、出金伝票、売上伝票、仕入伝票、振替伝票の5つの種類の記録用紙を使った方法です。各々のルールは下記の通りです。

5伝票制は3伝票制の基本伝票3種類に売上伝票、仕入伝票が付属した制度です。売上伝票、仕入伝票は日商簿記検定試験の出題問題上、記入された金額はすべて掛け取引となる前提となります。
上記のルールの枠内の中で、1枚の伝票だけでは記録しきれない内容があります。今回は応用編として、2枚の伝票を使って記録する取引例を解説していきます。
一部現金取引が発生した場合
下記のような取引が生じました。さてどのように記録しますか?
※A社は商品を30,000円で売上、現金で10,000円受取り、残りは掛けとした。
仕訳で考えてしまうと、1つの仕訳で成立する内容です。下記のようになりますね。

○3伝票制の場合
現金10,000円と売掛金20,000円とで2枚に分ける方法
この方法は仕訳を2つに分解して各々を入金伝票と振替伝票に記録する方法です。分解した仕訳と記入する伝票を下記のように示します。

単純に売上を現金取引分と掛取引分とに分けて2枚の伝票に記入するというだけです。
5伝票制の場合【参考】
いったん全額を掛取引とみなす方法
この方法は実質には現金取引が10,000円だけですが、全額を掛取引としてしまいます。そして即座に掛代金の受取を10,000円だけ行われていたとみなす方法です。仕訳と伝票を下記に示します。

5伝票制では売上取引は原則、掛取引とみなすルールがあります。したがって今回も2枚目の伝票を記録して簿記の仕訳と同じ結果になるように調整しています。
▽仕訳日計表
仕訳日計表とは1日に記録された伝票を集計する表です。記録の間違いがないかをチェックするために作成されることもあります。作成方法、集計方法は合計試算表と全く同じになりますのでそちらを参照ください。集計単位が一日単位ですので、非常に簡単に作成ができ点取り問題となるはずです。
以上、伝票会計のおける応用編とさせて頂きます。最後までお読み頂きましてありがとうございました。