簿記3級 手形取引「約束手形」振出人の記録

来訪頂きありがとうございます。さるやです。
今回のテーマは日商簿記検定3級の壁!?となっているかもしれない、「手形取引」です。
普段あまり耳にしない言葉が多く、勉強がやり難いと感じていらっしゃる方も多いと思いますが、今回の「手形取引」は聞きなれない言葉が、他の論点と比べて別格に多いです。
また、実務上でも手形取引って少ないようで、私も講師を辞めたあと、税理士事務所、一般事業会社2社を恥ずかしながら渡り歩きましたが、「手形取引」の実務を行っている会社を見たことがありません。実務でも取扱が少ないところが、イメージを持てず難解にしている要因かもしれません。
回数を分けて解説は行っていきます。また講師時代、たくさんの方がこの「手形取引」を境にドロップアウトしてしまう方が多い印象でした。みなさん、踏ん張りどころです。頑張りましょう!試験対策として話すと数多くの問題に絡めてきます。試験問題を作成する側も受験生が「手形取引」を苦手にしていることを分かっています。「手形取引が出来ない人を合格させてたまるか!」というような勢いです。上手くこの論点を回避して簿記3級を合格したとしても、次の2級に進んでも付きまといます。ぜい、この時点で知識をものにしていってください。
手形は2種類あります。「約束手形」と「為替手形」です。今回は「約束手形」を見ていきます。
「約束手形」
“約束手形とは振出人が一定の期日に金銭の支払いを受取人に約束する証書”です。
まず約束手形ですが、上記の定義の文章から2者の登場していること分かります。「振出人」と「受取人」です。「振出人」とは“手形代金を支払う人”兼“手形書類を作成する人”となります。「受取人」は“手形代金を最終的に貰える人”です。
つまり「約束手形」の取引は”手形を作成して代金を支払う義務が発生する“「振出人」と「手形を受取、金銭を受け取れる権利が発生する”「受取人」の2者間のやり取りです。したがって簿記の問題上では、どちらか片方の立場の視点に立った問題が出題されます。下記例題です。
①A商店はB商店より商品100,000円を仕入、代金はA商店を振出人とする約束手形で支払った。

上記は当然ながらA商店の目線で仕訳を解答します。A商店は商品を仕入れましたので、左側、仕入100,000円、そして代金は約束手形を振出して(作成して)渡しています。先ほども述べましたが、「約束手形」の振出人は“金銭を後で支払う義務”が発生します。なので負債の増加を意味します。そして仕訳をするときの注意点なのですが。勘定科目は「支払手形」を使ってください。「約束手形」という勘定科目は試験上ではありませんので、注意です!
また、手形の問題を解くポイントは、問題上では、自分がどちらの立場であるかを意識して問題を読み、自分の立場の記録だけをしっかり解答することで。さまざまなテキストや資格学校では、講義の回数、ページ数の制約を受けるためか、①も例題で受取人側の仕訳も紹介しているのがほとんどです。かえって、どんな仕訳を取るべきか混乱している方が多いような気がしますので、同じ例題で他の立場の説明はあえて私は控えさせて頂きます。このまま金銭を支払ったときの仕訳までみてしまいますね。
②A商店は先に振出していた約束手形について現金で100,000円を支払った。

この内容は言葉が違うだけで、「買掛金」の考え方とまったく同じです。お金を支払う義務を果たしましたので、負債が減少します。したがって左側に支払手形100,000円、現金を使って払いました。現金(資産)の減少で右側、現金100,000円と記録します。
以上、手形取引の「約束手形」の記録方法を確認させて頂きました。次回は「為替手形」の記録方法を解説していきます。
最後までお読み頂きまして、ありがとう御座いました。