簿記3級 手形取引プラスα② 期中取引

みなさん、来訪頂き有難うございます。さるやです。
今回は手形の応用論点を確認させて頂きます。応用論点については、別の記事でも書かせて頂きましたが、しっかりと手形取引の基本を押さえられているかどうかです。そして問題を解くうえでは、問題文の主語、中心となるお店の立場にたって解答することが非常に大切になります。約束手形、為替手形の基本は下記の相関図でまとめておきます。これを基本として確認していきましょう。
約束手形

為替手形

自己引受為替手形
ではまず、「自己引受為替手形」を解説します。為替手形は上記の図のように3者間の取引というのうが基本です。しかし処理としては自己振出を行い、かつ自己引受をすることができます。つまり手形を作成した人と支払を引き受ける人が同一人物となり実質、約束手形と同じことを行うことになります。なので一人二役で下記のようになります。
範例① A商店はC商店より商品を100,000円で仕入れ、代金は自己を引受人とした為替手形を振り出した

単純にA商店としては自分が支払人となるのみなので、右側に支払手形100,000円と記録します。もう一度言いますが、実質は「約束手形」の振出人と同じです。
自己受取為替手形
次は「自己受取為替手形」となります。これも先ほどと同じ一人二役になる内容です。今度は振出人と受取人が同一人物になります。これは下記の流れを一つの仕訳にまとめた話になります。
範例② C商店はA商店に商品100,000円を売上、代金は自己を受取人とした為替手形を振り出した。
まずC商店は商品を売上、掛けとしたとみなします。するととるべき仕訳は下記です。

ですが、今回は為替手形を振り出し、自己を受取人としているため、下記の仕訳を即座に行ったと考えます。

このように順番をたどってみると、売掛金を放棄したのではなく、同じ資産である受取手形に切り替えたようになりました。なぜこのようなことを、わざわざしているのか?というと、手形取引は手形法といわれる法律の後ろ盾があり、単純な売掛金よりも法的約束事が非常に強いのが特徴です。小切手を違う記事で紹介しましたが、小切手と同じように、支払を約束した期日にお金が支払われないと「不渡り」となり、最悪の場合は銀行取引が停止となります。つまり事実上の倒産と同じです。したがって、今回、売掛金を受取手形にしていることは金銭の支払約束をかなり強めることとなり、支払人となるA商店にとって優先順位を1番にして支払うことが必要になってくると言うことです。
このような考え方で範例②のような仕訳の流れとなるのですが、検定試験上の模範解答は2つ仕訳をするのではなく、一つに整理しています。考え方は下記です。

左側の売掛金と右側の売掛金を互いに相殺するという考え方です。これをまとめると下記のように整理され検定試験上での模範解答となります。

以上、今回も2つの手形論点を紹介いたしました。しっかり復習して試験への合格へ着実に進んでください。
今回も最後まで、お読み頂き有難うございました。