簿記3級 貸倒引当金の仕訳

みなさん、お越し頂きありがとうございます。さるやです。

今回のテーマは売掛金や受取手形などの債権に対する決算整理仕訳を解説していきます。まず、決算整理仕訳の話をしていく前に、「貸倒れ」という事象を説明いたします。

○貸倒れとは?

「貸倒れ」とは、売掛金や受取手形などの売上債権について、先方の倒産などの理由でお金を受け取ることができず回収不能となることを言います。

上記、読んでのごとくですが、売掛金や受取手形が回収できないことは実際発生します。そのような時に、簿記ではどのように仕訳するかというと下記となります。

範例① A商店は先に売掛金としていた50,000円について貸倒れとなった。

売掛金は回収できなくなってしまったため、該当する金額はもう資産ではありません。したがって資産を減少させます。右側、売掛金50,000円です。そして今回、資本を減少させる要因となった理由として「貸倒れ」になりますので「貸倒損失」(費用)の勘定科目を使って仕訳します。左側、貸倒損失50,000円です。

このように、会社は取引上で後払いを多く使用しますが、後払いを許すということは、常に回収不能が起こりえるリスクが存在することになります。簿記では、その「回収不能になるリスク」を決算整理仕訳として記録して、貸借対照表にそのリスクを示すことをします。それが「貸倒引当金」と呼ばれる決算整理の内容です。

◆決算:貸倒引当金の設定

では、どのように「貸倒引当金」回収不能のリスクを設定していくかを話します。これは単純に過去の実績です。過去の実績で全体の○%は回収不能があったということをもとに設定していきます。日商簿記3級ではこの過去の実積率については問題資料として与えられます。そのまま使用してください。自分で計算をするのは試験上は日商簿記1級レベルからです。

範例② A商店は本日決算につき、貸倒引当金を計上した。なお、期末の売掛金と受取手形の残高は合わせて400,000円である。実績率は3%であった。

では解説をしていきます。まず設定する金額の計算です。貸倒引当金は期末の残高に対して設定されます。期末に記録忘れていた売掛金、受取手形の漏れを実行してから最後の残高に対して設定してください。計算は単純です。範例②で言うと400,000円×3%=12,000円と計算します。この12,000円を使って仕訳します。まず左側です。貸倒は資本を減少させる可能性があるものです。したがって簿記では保守的にリスクを事前に計上してしまいます。その時に使う勘定科目が「貸倒引当金繰入」(費用)を使用します。「繰入」という意味は設定するというイメージです。そして右側にリスクを表す「貸倒引当金」と仕訳します。貸倒引当金は評価勘定と呼ばれる性質です。評価勘定の仲間は、減価償却累計額がその代表例です。それと同じように期末の売上債権を下記のように見ることで実質的な回収可能な売上債権を示す役割を果たします。

貸倒引当金は回収不能リスクです。その金額が今回は12,000円あります。実質400,000円の売掛金と受取手形を保有していますが、リスクを差し引き安全といえるのは388,000円というように評価しているのです。このように売上債権を評価し決算整理にて実質的な回収可能額に修正していることになります。

○次の会計期間に貸倒れが起きたら

では今度は、決算が終わり次の会社の年度(会計期間)に入り、実際に貸倒れが起きたときの処理をみていきます。範例②の決算整理仕訳により会社は12,000円の貸倒引当金がすでに設定してある状態です。

範例③ A商店は売掛金6,000円について貸倒れた。(貸倒引当金残高12,000円)

上記のように、簿記3級の試験上では設定してあれば優先的に引当金をとり崩して使用していきます。したがって、今回、回収不能となった資産の減少は売掛金6,000円です。右側に売掛金6,000円と仕訳します。そしてこのリスクについては貸倒引当金を設定することで、事前に備えていました。リスクを記録してあったのは貸倒引当金です。12,000円のうち6,000円が現実となったためそのリスクの可能性は減少します。左側。貸倒引当金6,000円と仕訳してください。

では予想していたよりも多く、貸倒れが発生してしまったたらどのような仕訳になるでしょうか?確認していきましょう。

範例④ A商店は売掛金15,000円について貸倒れた。(貸倒引当金残高6,000円)

範例③の続きの時系列とします。今回は売掛金が15,000円回収不能となりました。資産を減少させます。右側。売掛金15,000円と仕訳します。そしてこの時点で引当金の残高は6,000円しかありません。あるだけしか取り崩せませんので左側、貸倒引当金6,000円と仕訳して、足りない9,000円は予測できなった、新たな資本の減少要因として貸倒損失(費用)を使って仕訳していきます。

範例は示しませんが、貸倒引当金の残高が0円のときは全部、貸倒損失を使って仕訳してください。

◆貸倒引当金が余っている状況での決算

では、時系列を範囲③が終わったあとで決算を迎えた場面にします。貸倒引当金の残高は6,000円です。この6,000円が余った状態で決算を迎えたときの決算整理仕訳を解説します。

まず、やり方ですが、「差額補充法」という方法の考え方を使用します。名前のまんまです。単純に足りない分、設定額に不足する分だけ補充、つまり加算する方法をやります。問題文にこの「差額補充法」という言葉がわざわざ登場しますが、日商簿記3級ではこの方法しか登場しません。他の方法もありますが、試験上は他の方法は気にしなくてよいです。イメージを範例を使って見ていきます。

範例⑤ A商店は本日決算につき、貸倒引当金の設定を行った。期末の売上債権の残高は500,000円であり、実績率は3%とする。(貸倒引当金残高6,000円、差額補充法)

ではまずは今回における設定額を計算します、500,000円×3%=15,000円となります。この15,000円に貸倒引当金を設定します。仕訳に移ります、下記のようになります。

「なんで15,000円ではないの?」と疑問に思ったかた!注意してください。「差額補充法」ですよ!

今回15,000円と計算したのは最終的な設定額です。15,000円のうちすでに6,000円は前期の余りがあり計上済みの状況です。なので、不足している9,000円だけを今回の範例⑤の決算で仕訳してあげればよいのです。したがって上記のような仕訳がされて、下記のような勘定記入となってきます。

以上で売掛金や受取手形に対する決算整理仕訳の解説とさせて頂きます。今回の内容は簿記3級の試験で100%出題される内容です。問題練習を繰り返し、しっかりと身に着けて試験に挑んでください。

最後までお読み頂きありがとうございました。次回もよろしくお願いいたします。

さるや
  • さるや
  • 鎌倉市在住/簿記の元講師/現在は一般事業会社にて経営企画として経験を積んでいます。/専門は工業簿記・原価計算/社会人講座クラスを3級・2級・1級工業簿記を担当

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